合意なきEU離脱でポンド暴落?!
2016年6月23日にEU離脱の是非を問うイギリスの国民投票で「EU離脱」が決まってから約3年、今年の3月28日に離脱することが決まっていますが、その前にEUとの合意が結べるか否かということが注目されています。アイルランドとの国境問題やEUとの関税問題等解決すべき問題はたくさんありますが、イギリス議会でも案がまとまらず混乱している状況です。
もしこのまま合意なきEU離脱が決まると、ポンドが15~20%暴落するというエコノミストの声も多数聞かれます。
今週のポンド円は2円以上の円安に
にも関わらず、今週のポンド円は142.5円から2円(2月20日19時現在)、一時2か月半ぶりの145円を付けました。それは何故でしょうか。細かい理由はいろいろあるとは思いますが、市場ではみんなが上がると思えば下がる、みんなが下がると思えば上がるということはよくあります。
というのも、みんなが上がると思った時は、結構浅めのストップ(損切り)を入れている人が多いので、機関投資家等が売り浴びせてストップをつけてしまえば、一気に値が下がります。それを察知したAIがさらに下げを加速させるのです。みんなが売りだと思った時はその逆で一気に値が上がることが往々にしてあります。
今回のポンド円で言うと145円になるよりも140円になると思っていた人がかなり多かったので逆に145円になったし、145円より上はないと思う人が多く145円で売ってくると、それを超えたときに一気に150円になる可能性はあると思います。
EU離脱そのものが問題ではない
イギリスのEU離脱問題は、離脱することが問題なのではなく、離脱後にどうなるか決まっていないことにあります。例えばフランスからイギリスにEUの免許で荷物を輸送しているドライバーが、 3月27日にイギリスでトラックを運転しても問題ないのに、28日になるとイギリスの免許がないと無免許運転で捕まることになりますし、イギリスの工場で作ったものを28日以降にドイツやフランスで売ろうと思ったら、ユーロ圏内で作って売るよりも高い関税がかかってしまいます。でも理論的にはそうであっても、実際にそうなるかわからず、対策が立てられないことが今回の「合意なき離脱」の最大の問題点です。「いつから、こういうルールになる」と決まっていれば企業にしろ、個人にしろ対策を立てられるのですが、ルールが決まらず3月28日以降のイギリス社会がどうなるかわからないことが、最大の混乱の原因なのです。

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